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プロが教える超勉強法
理解度に大きな差が出る授業の受け方のポイント
予習のメリットは2つあります。「事前に内容がつかめるため、授業に集中して臨めること」と、「授業が復習になるため記憶に残りやすくなるということ」です。
さらに、授業後すぐにおさらいすることで記憶は強く定着します。
◎勉強は予習が大切。予習することで授業の土台作りを
勉強の基本は「予習」と「復習」です。授業を受ける前に予習をし、授業の後には時間を置かず復習する。誰もが知っている勉強方法ではあります。
しかし、実際に実行できているかと問われると、下を向いてしまう人が多いのではないでしょうか?塾の課題や学校の宿題、習い事とやることがあり過ぎて、毎日予習復習に割く時間がない。忙しい子どもたちの本音ですよね。
しかし、それでも授業の予習はとても価値があるのです。全く初めて見聞きする内容と出くわしたとします。
自分がどこまで理解できて、どこからが理解できないかの判断は、終わってみるまで分かりません。
さらに、初めて聞く内容について、授業時間の最初から最後まで興味をもって集中していられれば良いのですが、なかなかそうもいきません。難易度が上がってくるほどに、分からない点が増えてきます。
理解が及ばない部分に引っかかってしまうと、先生の話はもう頭に入ってきません。授業は基本的に受け身のものです。それだけに、授業を受ける生徒が、授業に臨む態勢を事前に整えるかどうかが理解度向上の決め手になってきます。
学校でも塾でもいいです。授業を効果的に受けるためには、その日に学習する内容の概要を把握していることが必要となってきます。あらかじめ説明されることが大まかに頭に入っているという状況は、理解の骨組みがもう出来上がっているということです。予習をすることで、ここまでの状況をつくりましょう。
枠組みが出来上がっていれば、本番の授業ではそこに肉付けをしていくだけです。予習でいま一つ理解できなかったところに集中し、分かっている部分はリラックスして聞き流すこともできます。
◎予習では教科書の授業範囲に一通り目を通す
では、予習はどのようにすれば良いのでしょう。まずは、授業で取り上げる範囲の教科書に一通り目を通しましょう。一度読んだだけで、内容を全て理解することはできないでしょう。
予習で深く理解しようとするのではなく、ざっと目を通して要点を確認する程度で構いません。この段階で、分からないところや疑問に思った点をはっきりさせておきましょう。
余裕があれば、ノートに書き写して、教科書に印をつけておきます。これこそが、予習の醍醐味。授業で注目すべき自分の重要ポイントが浮かび上がってくるのです。
さらに時間があれば、分からない部分を自分で調べてみます。ただし、時間をかけすぎるのは禁物。あくまで予習です。深追いするのならば、その分の気力と労力は復習に取っておきましょう。
◎授業が復習になれば記憶が定着しやすい
予習でしっかり下準備ができていると、翌日の授業も万全の体制で臨めます。先生の話を一言も聞き漏らすまいと、授業時間いっぱい集中しようとすると疲れて途中からダレてしまいます。
しかし、予習をしたことで自分が集中すべきポイントはつかめているはずです。授業に取り組む目的意識ができるため、同じ一時間でも内容の濃密さが異なるのです。
メリハリをつけて授業を受けられるので、いつもとは理解度も変わってくるでしょう。予習のメリットは授業に集中して臨めるほかに、記憶に残りやすくなるということが挙げられます。
どんな教科でも、初見の内容はすぐには頭に入ってきません。予習無しでは、一番理解に時間がかかる初回の学びを授業中に行ってしまうことになるのです。
予習していると、授業は大枠を理解したうえでの二回目の勉強となるので、すんなりと頭にも入ってきます。予習ならば、理解しにくいところは立ち止まってゆっくり考えることができます。
一方、授業は自分のペースで進めることはできません。分かっても分からなくても、先に進んでしまいます。せっかく一時間費やしても、下準備がなければ何も得るものがなく終わってしまうことだってあります。
効率よく勉強するには、やはり予習は外せません。
◎授業後にも復習するクセを
授業が終わると開放感から、すぐに教科書を閉じて遊びに行きたくなりますよね。集中していたからこそ、解き放たれた気分になるのはもっともです。
それでも、ここまで頑張った努力を無駄にしないためにも、もう一工夫。授業後に間を置かずにすぐ復習して下さい。普通は復習というと、帰宅してから夜にやるか土日にまとめてします。
しないよりは断然良いのですが、記憶を定着させるという観点から見るとちょっともったいないのです。記憶は時間の経過とともに、その内容が薄れていきます。つまり覚えた内容を忘れていきます。
1時間の授業内容も1時間経てば半分忘れてしまいます。その日の夜や週末まで復習を行えば、記憶に残っているのは果たしてどの程度なのか…。
記憶を強固なものにするためには、覚えた直後に復習すること。これに尽きます。やり方はいたって簡単。授業が終わった後の数分で、ざっと学んだことの全体像を見直すのです。
大枠を確認したら、次は重要なキーワードを読み返すだけ。実際にはおっくうなことですが、やるとやらないとでは大きな差が出ます。数分の積み重ねで、学力の定着や向上を目指すことができます。
受験勉強でやってはいけない間違った学習方法
家庭学習の定番「漢字の書き取り」「計算ドリル」も機械的に手を動かしているだけでは得るものは少なくなります。
テストの点数に一喜一憂するのも意味がありません。分からない部分を見付けることが重要です。
◎漢字の書き取りなど単純なインプットの繰り返しは無駄
子どもの勉強というと、漢字の書き取りや計算ドリルが真っ先に思い浮かびます。漢字の書き取りは、国語の基本となるものです。
ひたすら書き続けるだけですから、子どもが一人でできるということも取り組みやすさにつながっています。毎日のノルマとして、子どもに割り当てている学校や家庭も多くあるでしょう。
でも、テレビを見ながら、遊びながらの「ながら作業」で雑にこなすだけになっていないでしょうか。頭を使って考えることもせずに、単なる手の運動になっていたら時間の無駄づかいです。
毎日の書き取りで、国語そのものに拒否反応を覚えてしまう子どももいるのです。努力の割には、漢字テストで満点は取れません。
漢字について言えば、書き方を覚えるよりも読み方を習得する方がはるかに簡単です。読むだけならば、お子さんの学年以上の漢字も難なくマスターできるでしょう。
読むことさえできれば、学びの対象は一気に広がります。数学(算数)や理科、社会においても、内容を理解するためには、国語力が何をおいても必要です。
書き取りをないがしろにするわけではないのですが、読みがあっての書き取りです。限られた時間の振り分け方も、もう一度見直してみましょう。
◎計算ドリルはスピードだけを追い求めるのは危険
同じように、計算ドリルを日課としているかもしれません。これも数学(算数)の基本と認識されています。
本当に毎日たくさんやり続けて、かけた労力の分だけの効果は得られるのでしょうか。
計算ドリルを繰り返すことで、テクニックは覚えられるでしょう。計算の速度も速くはなります。確かに、必要な力ではあります。
しかし、もっと基本となるのは、初めて見る問題にどんな式や考え方を使えば良いのか判断できる力です。
機械的に手を動かしているだけでは、判断力や思考力は磨かれません。スピードばかりを追い求めることも弊害があります。早く計算できていても、考えることは置いてきぼりにされています。
じっくりと自ら考える能力を育てなければならない時期に、スピードの訓練ばかりを繰り返すのは少々危険です。小学校の低学年のうちは、学習習慣を付けるという意味でも書き取りや計算ドリルをやらせがちです。一生懸命取り組んで、やればやっただけの「作業」としての達成感も得やすいものです。
親が家でみてあげることもできるので、広く浸透しています。しかし、表面的な学習しかしていなければ学年が上がれば落ちこぼれます。
学年が上がるほどに、思考力が求められる問題が増えていくからです。小手先の作業しかしてこなかった子どもは、なすすべもありません。
◎問題集の正解、不正解に一喜一憂するサイコロ学習法も無駄
伸びない子の学習法にはもう1つ特徴があります。問題を解いて、答えが合っていたか間違えたかという結果にしか関心がないのです。
いくら問題の数をこなしたとしても、サイコロを振って大きな目が出れば喜び1が出れば落胆するかのように一喜一憂。これでは労力に対して得るものはごくわずかでしかありません。
間違えた答えを消しゴムで消して、正しい答えを書くことにばかり気がいっている子がいますよね。
勉強の過程よりも、きれいに「〇」が並んだノートや、問題集に仕上がったという結果の方を大事にしているのです。「✕」が付いている状態が恥ずかしく、居心地の悪い状態だと感じているからです。間違った勉強法をしてしまう子どもは「どうして間違えたのか」「どうしたら間違えなくなるか」ということに目が向かないのです。
間違えた問題をピックアップして解き直すよりも、間違えたことをなかったことにしたいという心理が働いているのです。
できない部分が見つかって弱点をつぶすチャンスなのに、分かったつもりでお茶を濁してしまいます。テストの結果ばかりが気になってしまう人はこのタイプです。
「前回の試験から何点上がった、下がった…」。試験の結果は、長い受験勉強の中のある一時の達成度を測っているだけのものです。それ以上でもそれ以下でもありません。大切なことはできなかったことをできるようにすることです。
◎間違えた箇所はもう一度復習して理解を得るところ
正しい勉強法を実行していれば、点数自体はそれほど気にならなくなってきます。間違えた部分は、もう一度復習をして理解を深める箇所。それだけのことです。
反対に正解した部分も喜んで終わりにはしません。なぜできたのかということにまで言及しています。
どうしてその正解にたどり着けたのか、理論立てて説明できれば記憶はより強固なものとなります。
分からないこと、間違ったことは、適切に対処しなければまた間違えます。理解できていない箇所の見ないふりをしていけば、学習が進むほどに分からない部分が雪だるま式に増えていきます。
できないことや分からない部分が多くなれば、子どもも自信がなくなっていきます。そうなれば、勉強そのものが嫌いになり苦手意識が先立つようになるのも時間の問題です。
なるべく早い時期に、誤った学習法は改善しましょう。
記憶力のいい脳にするための訓練方法
勉強で知識を詰め込むばかりで、思い出す訓練を怠っていませんか?必要なときに思い出せないのなら意味がありません。
かけた時間よりも、繰り返した回数がものを言います。忘れることを前提として、繰り返し記憶の確認をしましょう。
◎覚えたことを必要なときに思い出せないようでは自分の身になっていない
努力をすること自体は素晴らしいことですが、結果が出せないとしたら残念な事です。覚えることが多い科目で、暗記しようと時間と手間をかけて勉強したとします。
何とか覚えたとしても、試験本番で思い出せなかったら苦労のかいがありません。みなさん知識を詰め込むことには熱心ですが、思い出すことをないがしろにしていないでしょうか?
いくら頭に入れたとしても、必要なときに思い出すことができないのなら、何のための勉強か分からなくなってしまいます。
しかし、これはある意味仕方のないことかもしれません。学校の授業では知識を詰め込むことには熱心ですが、実際に必要なときに知識を取り出す練習に時間を割くことはありません。
知識を取り出すというのは、つまり思い出す訓練をすることです。知識は覚えるだけでは定着しません。何度も繰り返し思い出すことによって、初めて使えるようになるのです。
漫然と授業や塾で先生の話を聞いているだけでは、時間の経過とともにせっかく入れた知識は消え去っていきます。知識を定着させるためには、反復する訓練は欠かせません。
◎インプットされた記憶をアウトプットする訓練が大切
記憶力というと、ついついインプットの方にばかり気が向きがちですが、肝となるのはアウトプットです。きちんとインプットされていても、脳の中から必要なときに引き出せないという状況が「思い出せない」ということです。頭の中には入っているのだから、記憶よりも思い出す訓練に重きをおくべきだとは思いませんか?
やることは特別なものではありません。教科書や参考書、ノートを何度も復習するだけです。
ただし、意識の持ち方しだいで記憶への定着は全く変わってきます。一方は、ただひととおり暗記しようと目を通しているだけ。
もう一方は、授業の内容を思い起こし、以前覚えきれなかった部分などを心の中で読み返しながらテキストに向かっている。参考書を見るという行動自体は、傍から見れば同じです。
しかし、記憶に定着させるという面では、後者の方で圧倒的に効果が高くなるということは想像に難くないでしょう。
◎記憶するために要した時間より繰り返しの回数が重要
同じように授業を受けていても、できる子とできない子がいます。これも、授業の聞き方の違いによるものです。
受動的に情報を聞くだけの一時間と、頭の中で過去の記憶や疑問点と突き合わせながら記憶をフル回転させる一時間は同じではありません。
記憶は、かけた時間よりも繰り返した回数がものを言います。覚えたと思っても思い出せないことはままあります。忘れるのは当然のことです。むしろ、忘れることを前提として、新しいことを覚える前に復習することを習慣づけましょう。毎日やらなければならないことは増えていくのに、過去の復習まで何度もこなすとなると時間が足りなくなると、心配になるかもしれません。
しかし、実際にやってみると分かります。昨日1時間かかった内容でも、次の日の復習で思い出すだけなら5分で十分です。イチから取り組むのではありません。
思い出すことが有効なのは、何も社会や英語だけではありません。数学(算数)でも有効です。数学(算数)が苦手な子は、できない問題があるとすぐに解答を見て分かったつもりになります。
その場では理解できているのかもしれません。
しかし、思い出す訓練をしないがために、実際に自分で解いてみようとしても同じところでつまずいてしまうのです。分からないときに解答を見返すことは良いのですが、それはあくまで記憶の補完です。自分で考えて解くことを怠らないでください。
◎暗記の次は記憶を結びつける力をつける
並外れた記憶力を誇る人でも、脳の構造は一般人と大差はありません。
では一体何が違うのかというと、記憶する際のコツを知っているということです。例えば、よく知られているのはイメージと結び付ける方法です。特に、意味のない年代や用語、大量の語句を短時間で頭に入れるには、イメージに置き換えるやり方が功を奏します。単語ならそこから連想されるイメージを、自分と関連のある事柄に結び付けてより具体的に思い浮かべること。
記憶のメカニズムから考えると、定着を図るにはできるだけ脳の様々な部位を刺激しながら記憶する方が効果は出やすくなっています。イメージのほかにも、五感や感情も駆使しましょう。
手っ取り早いのは、覚えたい内容は音読すること。自分の口で言葉として発することが刺激になると同時に、耳からも頭に情報が入ってくることになります。
覚えた内容を、架空の誰かに向けて講義するつもりで説明することも勉強になります。人に教えることで、自分の理解が甘い部分が浮かび上がってくるのです。
記憶力は本人の努力しだいでどうにでもなります。記憶力が優れた人というのはイメージや五感の使い方を知っている人のことです。
丸暗記で対抗しようとしても、記憶に定着することがないのですぐに忘れてしまいます。
イメージや語呂合わせ、五感の力を上手に取り入れることで、長期的に記憶を自分のものとすることもできるのです。
せっかく覚えるのならば、知識として定着させ自分の財産にしていきましょう。
独学でも合格可能?効率よく勉強するには「7回読む」
効率よく勉強したいのなら、「7回読み」をおすすめします。必要なのはテキスト1冊だけ。
そして、読み方も見出しやキーワードを目で追いながら流し読みするだけというもの。シンプルですが、結果が出やすい方法です。
◎読むことは一番効率のいい勉強方法
勉強しなくてはと頭では分かっていても、実際に机に座って手を動かすまでが億劫なものです。参考書や問題集、筆記用具も用意してとなると、準備するものやある程度の場所も必要になります。すき間時間があっても、「机がないから」「今、筆記用具がないから」と自分に言い訳することになりかねません。
世間で話題になった「7回読み」勉強法は、1冊のテキストを流し読みするだけというごくシンプルな方法です。帰宅後出かけるまでのちょっとした空き時間、移動中、就寝前でも気軽に取り組むことができます。何より、授業を聞いたり問題を解いたりするよりも短い時間で多くの内容を学ぶことができます。
効率の面からすると、読むことはほかの手段よりも秀でています。一般的な読書では、能動的にじっくりと理解を深めながら本と対話していきます。それだけに、ただ読むだけでといっても心理的なハードルは思いのほか高いもの。
一方、7回読みは基本的には流し読みです。教材やテキストを1冊に絞り込み、さらさらと読み込むことを繰り返すというものです。繰り返し読むことで、内容が記憶に刷り込まれていきます。
最初の数回はうっすらとした記憶でしかありません。気にせず、あいまいな部分に意識を向けてさらに読み進めていきます。
回数を重ねることで、ぼんやりとしていた記憶のアウトラインがくっきりとしてきます。
◎7回読みで記憶を脳に定着させる
何度も繰り返すというと、ただ頑張ればいいという精神論と一緒になりそうですが、それは違います。覚えたものがどれくらいの早さで忘れられるかという実験結果と照らし合わせると、7回読みの正当性が明らかになります。学習直後は大半を覚えていますが、時間が経つにつれて覚えたことはどんどん忘れられていきます。1週間も過ぎれば、大半は記憶から消えてしまいます。
しかし、記憶後24時間以内に10分、再度覚えなおすことで記憶率は100%に戻ります。時間が経過すればまた記憶は衰えるのですが、1週間以内に5分復習すればよみがえります。
このように、記憶を脳に定着させるには、一度に丸暗記するよりも繰り返し情報にふれ記憶を強化するのが早道です。時間と手間をかけて苦しみながら一度でテキストを覚えようとするのは、効率的ではありません。回数こそ多いですが、流し読みで脳に焼き付けるように繰り返し読んで理解を深める7回読みは、合理的な学習法です。
◎7回読みはまずテキスト選びから
7回読みを実践する時に、まずやるべきことはテキスト選びです。あれこれ参考書を使うわけではなく、ただ1冊のテキストを徹底的に読み込むのです。
学習の成果はテキスト選びが左右すると言っても良いでしょう。読み進めていくうちに、「本当にこのテキストで良いのだろうか」と迷いながら勉強していると集中も妨げられます。
テキストを選ぶ際には、必要十分な内容が網羅されているかどうかを最優先にしましょう。デザイン的にはカラフルでイラストや図表が多用されているものを選びたくなりますが、それは別の学習時に取っておきましょう。7回読みでは、シンプルで流し読みの妨げにならないものが適しています。
学習参考書の取り扱いが豊富な大型書店で、自分の目で見比べて納得のいく1冊を選んで下さい。
◎7回読みのポイント、3回目までは全体像をつかむことに意識を向ける
テキストが決まればいよいよ読み始めです。より効果的なものにするために、7回全て同じ読み方ではなく、段階的に読み方を変えることが求められます。
最初から3回目までは、内容の全体像をつかむことに意識を向けます。見出しにも注目し、テキスト全体のアウトラインを描くイメージです。
初見の内容は文章を目で追っていくだけで疲れます。無理せず気負わず、眺めるくらいの気楽さで取り組みましょう。1度や2度で理解できるはずもないのです。
この段階では、書かれている内容を理解する下準備。書かれている内容に親しむことを目標とします。
◎4回目、5回目からはキーワードを中心に段落の要旨をつかむ
4、5回目からが本番です。4回目では本文中に頻出するキーワードに注意しながら読んでいきます。5回目ではキーワードとキーワードの間にある説明文に意識を向けます。
つまり、キーワードをポイントに段落の要旨をつかんでいくのです。このあたりから、混とんとしていたテキストの内容が情報として頭の中で整理されていくようになってきます。
◎6回目で取りこぼした内容を確認、7回目で仕上げの作業を
6,7回目は取りこぼしていた細かな点も含めた確認作業です。6回目に及ぶ頃には全体像は頭に入っているはずです。見出しを見ただけで、書いてある内容が浮かんでくるレベルに到達していれば成功です。キーワードの説明や段落の要約など、自分で答え合わせをする感覚で読み込みます。
最後の7回目は、仕上げの確認作業です。6回目までで頭の中に大まかにテキストが写し取れていることでしょう。その中で記憶が鮮明でない部分を強化し、しっかりと定着させます。
1回目では時間がかかっていたとしても、7回目では5分の1ほどの速さで完読できるようになります。1度で覚えられる天才の真似はできません。
しかし、7回繰り返す勉強法ならば誰でも挑戦できますよね。やり方も極めてシンプル。必要なのは継続する気持ちだけです。
さまざまな勉強法に振り回されている人は、一度徹底的にやりこんでみてはいかがでしょうか。
「勉強ができる人」になるために自分の勉強法を確立しよう
頭の良い人は、新しい知識を最短で身につける勉強法を確立しています。自分なりの勉強法が定まっていないと、目移りばかりしてしまい肝心の勉強時間が足りなくなります。
早い段階で自分に合った勉強法を確立し、ゴールを目指しましょう。
◎天才になれなくても頭の良い人にはなれる?
凡人のように努力を重ねなくても、瞬時に物事を理解し習得してしまうのが天才です。物語や歴史上に登場する彼らに、受験生であれば一度は憧れますよね。
勉強しなくても成績が良くなり試験にも一発合格できるという天才は、実際には極々わずかしか存在しません。
そして、生まれ持っての才能はどんなに真似をしようとしても習得できるものではないのです。寝る時間を削って必死に勉強していても、結果が出なければ自信も揺らぎます。やる気をなくす原因にもつながります。なかなか成績が上がらないのは「勉強の才能がないから」と諦めてしまっていませんか?実は、天才にはなれなくても、「頭の良い人」にはやり方次第でなれるのです。
多少の得手不得手の個人差はあるでしょうが、本来、人間の能力に大きな差はありません。有名大学の教授でも、日常生活では車の運転ができなかったり、プロ野球のチームが覚えられなかったりする人がいます。反対に、子どもでも全国の駅名を網羅していたり、カートを機敏に運転したりする例があります。こうしてみると、個人の能力というのは才能や知識にだけに寄与するものでないことが分かるでしょう。
◎勉強によって得られた知識は必ず身につく
一言に「頭の良い人」といっても、各人が思いうかべるイメージは多様です。一を聞いて十を知る勘のいいタイプ。何でも知っている博覧強記。柔軟な発想力がある人。論理的で冷静な判断ができる思考型。ひとくくりにすることは難しいのですが、一番分かりやすく明確なのは、どのタイプも「勉強ができる」ということです。
勉強によって得られる知識は、努力しだいでどんな人であっても身につけることができます。最も大事なことは、才能ではなくやり方、つまり勉強法で決まるということなのです。
◎勉強で知識を得るには自分で納得した方法であることが大切
勉強で知識を習得するということは、新しい知識を理解するプロセスのことです。未知の知識を自分の中で消化し血肉にするという過程を、いかに確実に短期間でできるか。
勉強ができる人は例外なく、このやり方を自分なりに確立しています。最適な勉強法には個人差がありますが、自分で納得している方法論があるということが大前提です。
ありがちなのですが、すでに参考書を持っているのに書店で平積みされている別の本や友達の使っている問題集が気になってしまうことがありませんか。
手持ちのものも満足にできていないのに、次々と新しいものに手を出してはすべてが中途半端で投げ出してしまう。今の時期は基礎を固める段階だと聞いて基本に立ち返っていても、最初から試験問題を解く方がいいという意見があれば心が揺らいでそちらに流されてしまう…。
世の中には幾多もの勉強法があふれています。成功している人が勧めている方法があれば、気になるのは当然です。
しかし、思い出して欲しいのです。目的は、勉強によって知識を身に付け成果を出すことです。
効率の良い魔法のような勉強法を求めて、勉強法コレクターのようになっている人をたまに見かけますが、勉強法探しにばかり時間を費やしていては勉強が進みません。
勉強法は学習効率を左右しますので、早い段階で確立すべきです。勉強ができる人は、さっさと自分のスタイルを決めてやり込みます。
自分に合った勉強法を確立し、それを何度も繰り返し、しっかりと知識を得ていくことが成果への近道です。
◎小さな成功体験を重ねることが勉強を続けるために必要
自分の勉強法を確立したとしても、勉強の過程が楽しいだけとは限りません。勉強で得た知識を自分のものにするには不断の努力が必要で、毎日コツコツと積み重ねていく作業が欠かせません。
勉強することで自分の知りたかったことについて知識を得たり、分からなかったことが理解できるようになると、その度に喜びを感じることでしょう。
しかし、勉強の過程は決して楽しいことばかりではありません。試験合格など自分の定めた目標にたどり着くための手段ということをふまえ、継続して勉強する努力が必要です。
受験だけで考えても、勉強は年単位の長丁場の挑戦になります。途中で挫折することなく、飽きることなく勉強を続けていくためにはいくつかのコツがあります。
その一つは、受験までの過程で成功体験を重ねていくこと。苦手科目で難しい問題集にばかり取り組んでいると、やっている労力に対して成果が上がらずやる気が無くなります。
そのまま我慢を続けても、いつしか勉強自体に嫌悪感を示すようになってしまうのです。気分良く学習を進めていくためには、今のレベルに応じた問題集で分かる部分を少しずつ増やしていきましょう。「できた!」「分かった!」といった成功体験は、脳内で快感を生み出すドーパミンを分泌させます。
脳は再び快感を得たいと、勉強しようとする行動の回路を強化します。勉強も成果が出れば面白くなってくるのはこうした理屈からです。
簡単な問題でも分かれば楽しくなります。楽しければ、自分から進んでやります。勉強量が増えることで成績が上がります。
ささやかなもので良いのです。成功体験を重ね、成績アップへの好循環をつくりましょう。
そして、目標を達成したときに、本当の喜びや楽しみがあなたを待っています。
エビングハウスの忘却曲線と受験勉強
勉強しているのにさっぱり記憶に残らない。それは勉強法が間違っているかもしれません。記憶の仕組みを知ることで、効率的に短期記憶を長期記憶へと置き換えることができます。
復習するほどに記憶は定着します。
◎一夜漬けで覚えたことは翌日になればすっかり忘れてしまう
お子さんを叱咤激励しながら、なんとか机に向かわせ、毎日の勉強時間を確保したとします。テスト前ともなれば、普段よりも長い時間をかけて参考書とにらめっこしているかもしれません。その姿勢は褒めてあげて下さい。
しかし、もっと重要なことは努力が結果に結びついているかどうかです。必死になってその子なりに頑張ったのに、いざ本番のテストでは全く覚えた内容が出てこないなんてことはありませんか?努力の甲斐なく、数日後には暗記した単語もすっかり記憶から消え去ってしまえば、やる気はガタ落ちです。あれだけやっても結果が出ないと、本人の自信喪失にもつながりかねません。
努力することは何においても必要ですが、こと記憶に限ってはやみくもに取り組めばよいというものではありません。あなたにも経験がありませんか?
テスト前日に徹夜で試験範囲をひたすら詰め込む一夜漬け。フラフラになりながらも、覚えたことを忘れないようにと仮眠もとらずに試験に挑む…。
テスト自体の出来はともかく、翌日にもなれば覚えたことはキレイさっぱり忘れてしまっていませんでしたか?寝ずに一夜漬けというのは、記憶の効率から言えばとんでもない悪手です。
反対に、常に成績優秀な人は、たいして勉強もしていない様子でテスト前日もしっかり睡眠を取っています。頭の良い子は無意識のうちに、記憶の仕組みを上手く利用しているのです。
◎記憶には短期記憶と長期記憶がある
最近は知られるようになってきた事実ですが、記憶を定着させるためには学習後の睡眠が必要です。記憶には2種類あります。
「一時的に情報を脳に入れておく短期記憶」と、「しかるべき場所にしまい込んでいつでも取り出せるような長期記憶」です。
一夜漬けでは短期記憶に入っただけの状態です。長期記憶にするためには、復習で重要な記憶と認識してもらい移動させる作業が必要となってきます。この移動には、十分な睡眠が欠かせません。脳は寝ている間に入ってきた情報の整理をしているのです。復習もせずに睡眠も足りないのでは、まさに残念な学習法です。
◎ドイツの心理学者・エビングハウスによる忘却の仕組み
基本的に脳は忘れるものです。記憶についての有名な実験があります。ドイツの心理学者で、忘却の仕組みについて調べたエビングハウスが行いました。
「覚えたことが時間の経過でどれくらい忘れられるのか」というテーマです。100%覚えたものも、30分後には46%、1日後には74%、1カ月後に至っては80%も忘れられていることが明らかになっています。いくら覚えても翌日には7割も忘れてしまうのでは、やる意味がないように思ってしまうかもしれません。
しかし、記憶の仕組みを上手く利用することで、短時間で効果的に記憶への定着は図れます。
やることはいたってシンプルです。覚えた記憶が新しいうちに、繰り返し復習し脳に刺激を与えることです。
逆に言えば、学校の授業でも塾の指導でも、家庭学習でも、学んだ後に復習をしなければ大半が記憶の彼方に消え去ってしまうことになるのです。
知識の積み重ねが必要となってくる科目などでは、復習するか、しないかでどんどん差が広がっていきます。
◎重要度の低い情報はどんどん忘れていく
私たちが生きていくなかで、毎日膨大な情報が脳に送られています。記憶できる量には限りがあるため、重要と思われるものに絞られています。
そのため、重要度が低いと認識された情報はどんどん捨てられていくのです。その反面、脳に大事な情報だと思い込ませることさえできれば、長期記憶として大事にしまい込まれます。
本来、長期的に記憶されるのは、直接生存に関わってくるような情報です。危険な生物や場所、食べられるものや仲間などです。およそ受験とは関係のない情報ですね。
◎復習を繰り返すたび忘れ去るスピードが遅くなる
脳が重要な情報と判断する基準は、実はもう一つあります。
それは、「何度も繰り返し送られてくる情報」です。
しつこく何度も入ってくる情報なのだから、きっと生きるために欠かせないものなのだろうと、脳が誤解するのです。
言い方は悪いですが、脳をダマすわけです。
脳をダマして記憶に定着させるには、タイミングの取り方も大事になってきます。
先の実験には続きがあり、適時復習を挟むことで忘却の度合いはどう変わるかということも調べています。
結果としては、復習をすることで忘れる度合いがゆっくりしたものになるということが判明しています。
何もしなければ翌日に7割忘れるとしても、何度も覚えなおしをすることで忘れる率は確実に下がっていきます。
繰り返し学習は一度ではなく、何度も行うこと。繰り返すほどに忘れるスピードは緩やかなものになります。
具体的な実践法としては、何をおいてもその日のうちに復習すること。
先の実験で明らかになっているように、覚えた直後ですら大半を忘れてしまいます。
記憶が新しいうちにすぐに反復学習を習慣づけて下さい。
学んで時間が経っていなければ、もう一度同じことをする心理的な負担も少なくなります。
その後については、翌日・一週間後、一カ月後と間隔をあけて取り組みましょう。
勉強より勉強の方法や勉強する仕組み作りの方が大切
真面目に取り組んでいるのに結果が出ない人は、勉強法が間違っているかもしれません。
知識を頭に入れるだけで満足していませんか?
実際の試験で使える知識を身につけるためには、問題集のアウトプットに重きをおきましょう。
◎勉強の本質はインプット中心よりアウトプット中心
学校の授業も真面目に聞いていて、ノートもしっかりまとめている。自宅学習でも毎日コツコツと参考書や問題集と向き合っている…。それなのに、一向に努力の甲斐が見られず、いつしか本人のやる気も萎えてしまう。自分は勉強ができないと思い込むのは、ちょっと待って下さい!
成績が思うように上がらないのは、単に今までの勉強法が間違っていただけかもしれません。学校では勉強のやり方までは、意外に教えていないものです。
気力と時間を無駄にしないためにも、早い段階で自分なりの学習法を確立すること。大学受験までの長丁場の受験勉強を乗り切るには、効率的な学びのスタイルを身につけることが必須です。
頭がいいとされている子どもの中には、無意識で実行している場合もあります。ですが、大半の人はどうやって勉強すればいいのか迷いながら進めているのが実情です。
よくありがちな悪い例としては、作業しただけで満足してしまっていること。授業でとったノートをまとめ直し、図表や色分けも駆使した「作品」を作り上げて満足していませんか。
教科書にも、重要度に応じてマークやラインをきれいに使い分けているかもしれません。暗記用の単語帳もお手製で、凝った子ならイラストまで自作するケースもありますね。
不得意な分野を集めて、問題集を自作する強者もいます。このこと自体は悪いことではありません。手を動かすことで頭に入ってくるという側面もあります。
ただ、怖いのは作業自体が目的になってしまうこと。いつの間にか、目的と手段が入れ替わってしまっているのです。ゴールはあくまで記憶と理解です。
そこに至る前段階でやった作業で、けっこうな達成感を覚えておしまいにしてしまうのでは、真面目で地道に取り組む子どもほど陥りがちな罠です。
時間には限りがあります。このやり方のままでは、インプットだけで時間が足りなくなってしまうでしょう。
たとえ頭に入れることができたとしても、学習はインプットとアウトプットが対をなしてこそ定着します。
インプットの際にも、実際に問題として出されるシチュエーションを想像しながら取り組むことが肝要です。試験で使えるようにするためには、覚えたことを確認するアウトプット、つまり問題演習が欠かせません。
例えばダンスが上手くなりたいからと、ずっとダンサーの映像やステップの教本を読んでいる人がいたらどうでしょう。知識を入れるのも大事だけれど、実際に踊ってみたら、と言いたくなりますよね。勉強だって例外ではありません。成績を上げたいのなら、単に知識を詰め込んでいるだけでは上に行けません。もう一段階上に登りたいのならば、問題を解く。これに尽きます。
問題演習に取り組んだら、解きっぱなしにしないこと。間違えた部分は、自分の弱い部分です。重点的に復習することで、苦手箇所がなくなり試験の得点も上がっていくでしょう。
◎東大出身者のマネよりも基本原則に基づいた勉強法
勉強法を語る番組や雑誌で、「東大生」というキーワードは王道です。現役東大生の受験勉強法や子どもを東大に入れた母親の教育法は、多くの人の興味を引き、あやかろうとする人が後を絶ちません。「偏差値が低い」「落ちこぼれ」が大逆転するストーリーも、手を変え品を変え新しいものが登場します。
確かに、一発逆転できる魔法のような方法があるのなら、誰だって真似したくなります。実際にそうしたマニュアル本を手に取ってみた方もいるでしょう。
読んでみると、「なるほどそういうものか」とその時点では感心するかもしれません。サクセスストーリー風に仕上げられているものが多いので、読後は気分も高揚するでしょう。
しかし、いざ今度は自分の番と机に向かってみても、思うようにはいきません。なぜなら、著者とあなたは違う人。もともと備わっている能力も、得手不得手、性格だって異なります。
東大生が勧める勉強法だとしても、東大に現役合格するくらいのポテンシャルがある人です。東大にいるような人は、幼児期から誰に言われることなく勉強している子が大半です。
目的に向かって突き進む集中力と精神力も並外れています。
そして、一番忘れがちなのが、東大生は勉強ができない人の気持ちはわかりません。プロスポーツの選手を思い浮かべて下さい。
その分野では誰もが認める超一流の人でも、人に教える立場となると、とたんに普通の人以下になってしまうことがありますよね。
理論的に言葉にして教えることが苦手で、感覚的にしか教えられない。これは、本人にとってできて当然のことだから、できない意味が分からないのです。東大生の勉強法も同じです。そこに書いてあることは、一部の人にとっては真理かもしれません。
ですが、一般の人にとっては鵜呑みにするのはお勧めできません。人はそれぞれ異なるように、適した勉強法も様々です。勉強の原理原則に基づいて、自分なりにオーダーメイドの勉強法を作り上げていくしかないのです。
単語や年代など暗記ものを忘れてしまわないための勉強法
暗記にはコツがあります。丸暗記しても定着せずすぐに忘れてしまうものです。短期記憶から長期記憶に昇格させるには、反復あるのみ。
覚えた後も記憶から消されないように、定期的に復習をしましょう。
◎反復することでしか記憶は強化されない
好き嫌いに関係なく、勉強するうえで暗記を避けて通ることはできません。国語の漢字や熟語、ことわざ、社会の年代や理科の用語などは、覚えるよりほかにありません。
ただ、やみくもに暗記すれば良いというものでもないのが難しいところ。試験の前の一夜漬けをしたことがある人ならば、思い当たると思います。
とにかく「丸暗記で詰め込めばいいだろう」と一度に覚えようとしても、試験が終わってしまえばすぐに記憶から消え去ってしまいます。せっかく努力したのに、もったいないですよね。
忘れるのは人間の脳の仕様です。生きるために必要のない情報は、記憶の優先順位が下がります。何も手立てを打たなければ、自然と忘れるようにできているのです。
しかし、脳の仕組みを逆手にとれば、効率的に記憶することも可能です。脳は送られてくる全ての情報を記憶に留めるわけではありません。
海馬(かいば)という脳の器官が重要だと判断した情報だけが、大脳皮質と呼ばれる場所に送られ長期的な記憶として保存されます。
海馬(かいば)が重要と判断するのは、食べ物や危険に関する情報です。ただ、そうではない情報も何度も繰り返し送ることで、必要な情報と認識するのです。
何度繰り返しても忘れてしまうと、「自分には才能がないのか」と落ち込むことがあるかもしれませんが、そもそも、脳の造りが覚えないようにできているのです。悩む暇があったら、自分の脳に情報を送りましょう。
インプットの回数を増やして、短期記憶から長期記憶に昇格させてあげるイメージで取り組むことが大切です。
さらに、記憶は定期的にメンテナンスしてあげることでより強固なものになります。日常的に使われない情報は、次々と記憶から消されていきます。
せっかく頑張って覚えた単語も、放っておけば要らない情報と判断されてしまうのです。記憶した直後、翌日、一週間後、1カ月後などとタイミングを決めて、記憶の定着を図りましょう。
2回目以降は最初ほど時間もかからないはずです。
◎覚える必要のないものをカット
暗記は毛嫌いされがちです。それは、覚える量が多すぎるのも原因の一つです。誤解を恐れずに言えば、全てを覚える必要はないのです。
一冊の単語の参考書をマスターするとします。やってしまいがちなのが、頭から順に全部のページに記載されている単語を暗記しようとすること。
熱意は立派ですが、効率の面からみると褒められたものではありません。参考書で取り上げられている単語の中には、周知のものもあるはずです。
まずは、ざっと目を通すつもりで流し読みします。この時に、覚えている単語は線で消しておきます。覚える必要のない既知の単語を除外することで、暗記対象となる量は減っています。
残ったものは「知らない単語」「知っているが覚えていない単語」のみとなります。それぞれに、✕・△の印を付けておきましょう。
2巡目以降で覚えたものは線で消し、どんどん減らしていきます。何巡も繰り返すことで、残ったものを確実に記憶に定着させるのです。
暗記を効率よく行うためには、何をおいても覚えたものを省いていくことです。物理的に作業量が減るだけではなく、達成感もあるのでモチベーションも上がります。
◎問題集はできない問題を見つける
受験勉強で問題集を繰り返し解くというのは、王道です。とは言え、使い方を間違えている人がしばしば見受けられます。
真面目に取り組んでいるのに、成績が伸びないなら勉強法自体を見直す必要があります。先ほどの単語の暗記とも共通しますが、問題集は自分の弱い部分を見付けるためのツールとして使って下さい。難なく解ける問題に時間をかけて、正解したと喜んでいても得られるのはその場の満足感だけです。
できた問題に満足して、間違えたり分からなかったりしたところは飛ばしておしまい。これでは、いくらやっても進歩はしません。当たり前のようですが、意外とできていない人が多いのです。
とばした部分は無視して、一冊やり切ったことで自己満足してしまいがちなのです。自分ができないこと、苦手な部分に向き合うのは気が進まないものです。
解説をざっと眺めても理解できないからと、見なかったことにしてしまいたくなります。できなかった部分は、今後取り組むべき課題です。これらを一つひとつ克服していくことで、確実にレベルアップします。出来ない問題をピックアップすることが大切なのですが、基準をはっきりさせましょう。
答えを見て分かったつもりになったり、掲載されているヒントを見たりして解答した場合は「できない問題」です。また、4択問題などで、山勘で正解したものも「できない問題」です。
このように、確信をもって答えたもの以外は、「できない問題」に区分します。「できない問題」を絞り込んだら、模範解答を見ながらどの段階までなら理解できるのかを探っていきます。
最初の考え方からつまずいているのか、途中までは解けているのか。自分の理解の妨げになっているところが明らかになれば、解決もたやすくなります。「できない問題」は、調べるなり、先生に質問するなりして克服しましょう。
(石井進学塾) 2022年9月28日 13:54